データが消えた時にやってはいけないこと
データが読めなくなった直後にどう動くかで、取り出せるデータの量が変わることがあります。ここでは、復旧の可能性を下げてしまう代表的な操作と、その理由を説明します。
内容は一般的な傾向をまとめたものです。実際の判断は症状によって変わるため、迷う場合は操作を止めてご相談ください。
まず、電源を切る
異常に気づいたら、最初にすることは電源を切ることです。
読めない状態のまま通電を続けると、状況によっては内部の状態が進行します。特に、動作音がいつもと違う場合は、通電時間そのものがリスクになります。
作業を急ぐ気持ちになりますが、止めることが最も効果のある初動です。
1. 電源の入れ直しを繰り返す
認識しないとき、つい何度も抜き差ししたり再起動したりしがちです。
しかし、認識しない原因が機械的なものである場合、電源投入のたびに同じ動作が繰り返され、読み取り面の状態が悪化することがあります。1回試して変わらなければ、それ以上は繰り返さない方が安全です。
「昨日は認識したのに今日はしない」「認識したりしなかったりする」という状態は、進行している最中である可能性があります。この状態こそ、通電を止める判断が要る場面です。
2. 異音がする状態で使い続ける
カチカチ、カタカタ、キーンといった普段と違う音が出ている場合、内部で正常でない動作が起きている可能性があります。
この状態での通電は、読み取り面に対して物理的な影響を与えることがあります。音に気づいた時点で電源を切るのが安全です。
なお、SSD や USB メモリには回転部品がないため、この判断は当てはまりません。
3. チェックディスクや修復ツールをかける
OS が「ドライブをスキャンして修復しますか」と表示することがあります。
読み書きに問題が出ているメディアに対してこれを実行すると、修復処理そのものが書き込みを伴うため、元のデータ構造が上書きされることがあります。修復が成功する場合もありますが、失敗したときに状態が戻せなくなる点がリスクです。
データを優先したい場合は、修復を実行する前にコピーを取るのが原則です。コピーが取れない状態であれば、修復は行わない方が安全です。
同じ理由で、フォーマットの提案が出ても実行しないでください。
4. 自分で分解する
ハードディスクの内部は、通常の室内環境では扱えない精度で組まれています。開封すると、目に見えないほこりが読み取り面に入り、状態が悪化します。
一度開けてしまうと、その後の復旧の難易度が上がります。
5. 元のメディアに書き戻す
復旧ソフトを使う場合、取り出したデータの保存先を元のメディアと同じ場所にしないでください。
削除されたデータは、多くの場合すぐには消えず、上書きされるまで領域に残っています。同じメディアに書き込むと、まだ取り出せたはずのデータを自分で上書きしてしまうことがあります。
保存先は必ず別のドライブにしてください。
復旧ソフトを使ってよい場合、避けた方がよい場合
復旧ソフトが有効なのは、メディア自体は正常に動作していて、削除やフォーマットなど論理的な理由でデータが見えなくなっている場合です。
一方、次のような場合はソフトでの対処に向きません。
- 異音がしている
- 認識したりしなかったりする
- 通電しても回転しない
- コピー中に止まる、極端に遅い
これらはメディア自体に問題がある可能性が高く、ソフトによる長時間のスキャンが状態を進行させることがあります。
症状の目安
| 症状 | 傾向 |
|---|---|
| 削除してしまった、フォーマットした | 論理的な原因の可能性が高い |
| ファイルは見えるが開けない | 論理的な原因が多いが、要確認 |
| 認識しない、認識が不安定 | メディア自体の問題の可能性 |
| 異音がする | メディア自体の問題の可能性が高い |
| 通電しない、回転しない | メディア自体の問題の可能性が高い |
上の行ほど自力で対処できる余地があり、下の行ほど通電を止める判断が重要になります。
迷ったら、止める
判断に迷う状態は、多くの場合「まだ取り出せる可能性が残っている状態」です。操作を重ねるほど選択肢は減ります。
大切なデータであるほど、手を動かす前に一度止めて、状況を整理することをおすすめします。
デイサポート